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Namida (D)

14,300円(税込)

在庫状況 売り切れました

■大きさ 約長さ27mm・最大幅15mm・ループ最大幅5mm・最小幅2mm
■重 さ 6g
■素 材 ガラス



【 Namidaが完成するまで 】

10年かかりました。

10年前、ガラスに恋をしてガラス工房が日本で最も集まっていた街、小樽へ移住しました。
小樽での暮らしは一年を通して美しく、観光名所から離れた場所は穏やかです。
夏は涼やかで、クリスタルの音色が空から響いてくるようで暮らしているだけで体が清浄されていくようでした。
一年の半分もある冬は、日照時間が短く時折雪雲から差す陽の光は神々しく、青空は清らかで、雪はワルツを踊っているようにくるくる渦巻いたかと思ったら狂ったように激しく吹雪いたり、毎瞬変わる景色は地球ではない他の惑星に来ているようでした。
海沿いに続く高台の道を歩きながら遠くの土地に住む人々の気配をよく感じていました。


元々、人間という言葉は「世の中」だとか「人の世」などといった意味合いで使われていたそうですが、近世になり「人」を差す意味合いで使われるようになったそうです。

人間を「人の世」の意味で捉えたときも「人」の意味で捉えたときも、目を引いたのが感情というものでした。
籾殻(もみがら)を剥いていくと白いお米になるように、複雑にくっついた様々な感情を剥いてみたとき、ひとつひとつの感情はなんて純粋でパワフルなんだろうと思いました。
その喜怒哀楽の感情の中でも最もピュアで美しく感じたのは哀しみでした。
その頃から、いつかこの美しい感情を形にしたいと思っていました。


しかしながら、哀しみというのはできれば経験したくないものではあります。
喜怒哀楽の喜と楽だけがいい。
逆説的のようではありますが、哀しみたくないという想いは人生の甘美から実は遠ざかるものなのかもしれません。
いつしか、心にある苦しい感情も全て享受しようと降参し、全ての感情はこの地球で「生」の彩りとなる豊かさだと感じ始めました。
あらゆる感情は美しいと感じると、喜楽のみ求めていた心の強張りは好奇心になりました。

10年という歳月がかかったのは、感情を見つめるこの過程があったからです。
そしてようやく「哀しみ」のフォルムが心の中に生まれました。
吹きガラス工房で作ったそれは、心に寄り添えるものでありたいという想いからペンダントにしました。

形ができあがって何日かアトリエの作業台に置いていました。
ある日、ふと視界に入ったとき「哀しみではなくなっている」と思いました。
キラキラ輝く美しい姿は「悦び」の光をたたえていて、JOYになっていました。

哀しみを形にしたのにいつの間にかJOYになっているので、作品名は少し迷いましたが
Namida(涙)にしました。
涙は悲しい時だけでなく嬉しい時も流れるもの。
そして今は哀しみしかなくてもいつか心が悦びをたたえるように。



※チェーンは別売りです。

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